『サイト設計どうしてますか?』というお題での開催でした、私が去年質問したものでした。サイトツリー、ページ一覧、ワイヤーフレームといった、サイトを作るときの基本とも言えるドキュメントを、
- そもそも誰がいつ作るものと考えているか
- どう作っているか
- クライアントとどのようにやり取りするか
この辺りのことを聞きたくて質問をしました。
https://www.meetup.com/ja-JP/Toyama-WordPress-Meetup/events/282893740/
ディレクタのやるべき仕事
誰がいつ、という点については、デザインの段階の前にディレクタ(直接クライアントと話をするひと)が作るべきということで、理解は共通していると思いました。少し気になったのは、予算次第という話が出たことでした。確かに、規模の大きいサイトではサイトツリーやページ一覧がないとサイトの全体像は掴めませんし、管理も難しいはずです。一方で規模の小さいサイトでは、文書にまとめなくてもコミュニケーションが可能ということだろうと思っています。
これは、持論ですが、ディレクタの頭の中にしかない「こうあるべきサイト」の姿を明らかにするのが、サイトツリーやページ一覧、WFの役割だと思っています。クライアントと直接話をして、どんなものが望まれているのかを把握しているのは、おそらくディレクタだからです。
なので、ウェブサイトの企画から最終的なリリースまでをひとりで済ませてしまう人なら、これらのアウトプットは特に必要ないのかもしれません。全部自分の頭にあるか、自分に分かればいい形でアウトプットしておけば済みます。
結局、どれだけコミュニケーションを密に円滑に行うか、ということでもあるかな、と感じました。
余談:呼び方が人によって様々
サイトツリーのことを「サイトマップ」「サイト構成図」という場合があるようで、人によって呼び方は違うと思いました。これは、混乱の元にもなるので、用語の整理はチームにとって重要かと。
どう作っているのか
サイトマップ
XMind で作るという意見が多かったです。たしかに便利だろうな…。
ただ、個人的には、マインドマップ的に書かれたサイトツリーやコンテンツマップについては「結局どこまでが1ページなの??」というのがわかりにくくて困った思い出があります。
ページ一覧
こちらは表計算ソフト一択でした。そしてやはり、Googleスプレッドシートで作るという意見が多かったように思います。後にも話しますが「共有する」というのが重要なのでクラウドツールの利用が標準的なのだろうなと思いました。
ワイヤーフレーム(WF)
Adobe Xd 一択、はい優勝!
という感じでした。みんな使ってますね。いろいろ機能が増えていて、聞いた話ではCSSの書き出しもできるようになっているようです。すご。
最近使ってみてありがたいと思ったのは、以下の機能です。
- ページ内リンクが表現できるようになったこと
- ホバーでドロップダウンする要素を作れる
どのようにやり取りするか?
こちらも、クラウドで共有という方法が主流でした。GoogleドライブやDoropBoxPaper で、直接ドキュメントを「共有」することです。
メールでファイルを送って確認してもらう、という方法ではなく、ドキュメントを直接編集して直接共有するやり方が、もう、普通ですよね(未だにこれができないところがあるけれど)。また、これらのツールの良いところは「専用のアプリを必要としない」ところかなと。ブラウザがあればOKというのは強みだと思います。もちろん、各ツールの使い方は学習する必要があるのでユーザへの負荷はあるかもしれません。
他の方の話を聞いていて思ったのは、私とは「客層」が違うな、ということでした。クラウドを利用しても問題なく作業が進められるとか、UXという言葉に戸惑わないとか、新しめのプロセスを問題なく受け入れられるとか、そういう仕事を選んでいるのだろうな、と感じました。
「ウェブサイトを作ることが何にもわからないから、全部お願いします」というやり方では、この先、うまいことウェブサイトを使いこなせないだろう…というのは、この仕事に関わってからずっと思っていることです。クライアント側も、勉強は絶対に必要で、いつまでも「ウェブのことがわからない」と言っていては、遅れる一方でしょう。クリエイティブディラクターの水野学さんの本にもありましがブランディングがその企業やプロジェクトのアウトプットを「全て」意識する必要があると書いていました。もしそうなら、ウェブサイトやそこで発信されるコンテンツの微細な部分まで全てに神経が通わないといけないはずです。
モヤモヤした点
モヤモヤしたことをわざわざ書くのもなあ、と思うのですが、いくつか挙げておきます。消化のためなので、読み飛ばして構いません。後で消すかも。
コーダーの立場の問題とされたこと
これは、多分私が聞きたかったことをうまくまとめられなかった結果(なんだかただの愚痴みたいになってしまったのは反省しています…)でもあるとは思うのですが、こういう片づけ方をされるのは心外でした。ウェブ制作のプロセスやフローでは末端にいるのがコーダです。なので「コーダは替えが効く」だの「誰でも同じ」だの「プロジェクト遅延のケツを拭く羽目になる」だの、本当に理不尽なことが多いです。ディレクタがエラくて、手足の立場のコーダは何も言えない、とでも。常態化しているから「仕方がないよね」と言われたようで悲しかったです。「プロジェクトの目的がはっきりしていないとコーダに負担がかかる」と指摘がありました、そう思うなら、ちゃんと上流で改善してほしいなあ、、、です。
10年くらい前にもあった話
これも、禿同で、ウェブ制作のプロセス問題は根深いな、と思いました。10年前から私の愚痴が変わらないのですよ…。
この点ではWordPressの会でもあるので、WP5.9でフルサイトエディタになったら、それこそ必要なのは「コンテンツ」の準備だけで、あとは簡単にでもWFがあれば、すべてWP上でやり取りをして作っていけるのでは?という意見もありました(が、これには懐疑的です)。サイトツリーにこだわるのは考え方が古いのでは、大事なのはコンテンツだよね、という指摘もありましたが、コンテンツファーストに頭の切り替わらない制作者やクライアントも少なくないので、その辺りは難しいなあ、と思います。私だってUXの話がしたい。開始前に「仕事を選ぶ」という話もありましたし、やっぱりそういう解決だよね、とも思いました。
コンテンツ重視というのはこれまでページを中心に考えてきたウェブサイトの構造を、コンテンツというもう少し小さな粒度から考え、どのように伝わるのが望ましいかということを組み立てていく考え方のことを指しています。また、その場合は対象がウェブサイトに限らず、あらゆる発信の手段で「どのコンテンツをいつどう出すか」を考えていくことになるのかと。ブランディングにはとても重要な視点に思いました。また、この場合でもリスト化は必要だろうと思います。
ディレクタが「私がドキュメントである」と思っている=つまり自分が全てを知っていると思っていると、状況は良くならないだろうな、と思っています。なるべく自分の考えを表に出して、クライアントも交えた関係者全員によってフラットに意見を述べてより良く練り上げていく、ということが必要ではないでしょうか。そういうプロセスを心から望みます。
どこの制作会社の話ですか?
って、聞かれたんですけどw 言えるかい。
そういうことは、あとでこっそり個人的に聞いてこい、と思いました。常連さんだから、気の緩みもあるんでしょうね。びっくりしましたし、失礼だなとも思いました。いろんな人がいるものですね。
多分、私の話が愚痴じみたせいで、こういうことを言ってきたのだと思っています(気をつけねば)。
時々こんなこともありますが、Toyama WordPress Meetup は、そんな失礼な話も受け止めてくれるほど(笑)何を質問しても大丈夫の場です。ウェブサイトに関わることで、誰に聞いたらいいかわからない、こんなこと聞いてもいいのかな?と思うことでもここならOKですよ。毎月オンラインで開催していますし、気になる方は覗いてみてください。